机はありません。もう一度言います。英語を勉強するコースで、机がないのです。毎日必ず歌、ダンス、ゲーム、ポエムのうち二つ以上に長い時間を取られることがストレスの一つでした。「では椅子を壁際まで引いてスペースを作りましょう」と言われるたびにまたかと血の気が引いて吐きそうになりました。二週間目、首前面に小さな湿疹がたくさんでき鮫肌のようなので気にしていたら間もなく顔にも広がって、目鼻の周り以外全部、特に額とこめかみ、顎は遠目でもわかる吹き出物で困りました。押すと痛いので化粧ができなくなったのに、その時はベジタリアン食によるデトックスの証だと思っていました…。英語のコースが終わるや否や「しゅうーっ」という音が聞こえそうな勢いで消えてしまいました。三日目には元の肌に。
終わってみてわかることってあります。
異国で高いお金を払って買い物をすることがいかにハイリスクか。いま働くコースにいますと自分なりに工夫や努力ができます。早く仕事を覚えようとか、どうしたら合理的にできるか、ミーティングの英語についていけないからキーワードを拾って後で聞くとか。
自分が消費者だったときは、どんなに激怒しようとも自分ではどうにもなりません。先生に困っていることを伝えてそれが理解してもらえれば別ですが、例えばまたダンス?いいかげんにしろ!と毎朝思ってもそれがここのやり方なのです。せいぜい私だけ休憩することはできても、授業時間が増えることはない。かえってレジスタンスを形にしてしまうとそれにまた見返りがないことにイライラして自爆、という悪循環を避け、長い物に巻かれたつもりが巻かれきれませんでした。もちろん週報で伝えました、歌やダンスを減らしてまともな授業を増やして欲しいと。レスポンスはありませんでした。
後日ここの重鎮の一人が「働いててどう?」と声をかけてくれたので「働くときは努力ができてうれしい。消費者はできない」と答えたら「そういう時はコンシューマーではなくカスタマーだ」と直してくれました。