私の受けているプログラム Learning English in Community は年に三回ほどあって、
今期は生徒が四人だけ。そこにフォーカライザーという人が三人つきます。先生でもあるし、屋内外の活動の引率者で、生活上の困ったことも相談できます。その一人がベラというドイツ人の女性。誰もが彼女をエネルギッシュだとか情熱的とか表現していますが私はドイツのサザエさんみたいだと思いました。明るくて腹に何もなくて、思い立ったら猪突猛進。
これはちょっと重いエピソードなんですけど。
成田からヴァージンアトランティック航空で来ました。機内で映画が見放題ですから「ヒアアフター」を選びました。クリントイーストウッド監督、マットデイモン主演で、マットが亡くなった人と交信できる能力を持つ、ということしか知らなかったのです。テレビ宣伝でちょっと見たかったし不思議の地フィンドホーンに行くにはふさわしい内容じゃないですか。
そしたらオープニングの場面が、ヒロインが津波に巻き込まれるシーンで。しかもここまでやるかというくらいリアル。遠くに高い波が見えて、あっという間に島を飲み込んでいく。ヒロインは走って逃げるのですが間に合わず、激流に巻き込まれて大木に激突する水中シーンまであるのです。ここで臨死状態になって見た映像が後々マットデイモンと絡むのでしょう。でもこの時期にそんな津波の映像を見て何も感じない日本人がいるでしょうか。私はとにかく悲しい気持ちになって涙が止まりませんでした。映画を止める気力さえなくて、残像が怖くて途中でストップできなかったのです。やっとマットデイモンがイタコになったシーンで見るのをやめました。
私は翌々日、フィンドホーンで会ったばかりのベラに茶飲み話でこのことを話すまで、自分がとても疲れていたので涙が止まらなかっただけだと思っていました。
ベラは話の途中でどんぐり眼になって
「クゥルエイズイイ!!!」と叫び、最初私が怒られているのかと思いましたが早口でたぶんこんなことを。
「ヴァージンアトランティックは何てバカなの。あの地震の直後に、日本人ばかりが乗っている便で、なぜ彼らはそんな無神経なことをするのかわからない。私だったらヴァージンアトランティックにメール送りつけて訴えてやるわ!」
この激怒するベラを見て、あ、私は怒ってもいいのだと初めて思いました。