2011年4月23日土曜日

ルームメイト

ルームメイト。何となくそわそわする言葉です。人生初のルームメイトはポルトガル人でした。恥ずかしながらポルトガルがラテン系というのは知りませんでした。
彼女は真っ黒な長髪ドレッドヘアで、顔の幅と同じボリュームの髪が左右にある感じ。目も口も私の2倍くらい。瞳はグレイグリーン。おしゃれなボインちゃんです。初めて会った時はびっくりしました。ただびっくりしました。「あっすみませーん部屋間違えました〜」と言いそうになりました。でも話してみるとちょっとシャイな感じでほっとしました。さらにドレッドヘアがナチュラルと聞いていっそう安心。何が。いや何となく。
私はまず自分がおしゃべりが苦手だと伝え、黙っていても機嫌が悪いのではないので気にしないでほしいとお願いしたらオッケーと。杞憂でした。英語はほとんどしゃべれないけどいつも明るくてまさにラテンのノリ。「アイム•ハングリー!(お腹すいちゃった!)ウフフフフ〜!」てな調子で、空腹なだけでそんなに楽しいなんてその脳天気ぶりの100分の1でいいから分けてくれ!といつも思っていました。
助かったのは私以上にパソコンちゃんなこと。ヒマな時はスカイプかフェイスブック、どちらかに熱中しているのでルームメイトなのに気遣い不要。私も負けじとアイパッドちゃん。お互い早く寝ちゃうし、いったん距離感が安定するとラク。
そうしたら二週目のある日突然元気がなくなって、数日後に聞かされたのが彼女のおばあさんが亡くなってしまったこと。
訃報のあった当日よりも翌日の方が落ち込みがひどく、一日だけ授業を休んで教会へ行っていました。別人のようにやつれた様子は一見、怒っているようにも見えるほど。それでも遠足に参加したり気丈に振る舞っていましたが眠れないと言い、ある時部屋に戻ったら電気をつけたまま憔悴しきって眠った顔が、十字架から降ろされたキリストのそばのマリア様のようでした。日本人のあえて遠くから見守る気の遣い方は、ラテン民族には冷たいと思われるかも。でも見守るしかありませんでした。
やがて彼女は復活しました。わかりやすいです。徐々にではありましたが、ヘッドセットで母国語の巻き舌を使う時間が増え、後半では「私、最近日記をつけているの!」とかスカイプで私までご家族にハローと言わされるなど、英語の吸収力とあいまって大変なことに。しかしピュアで優しいので、一緒の部屋にいると黙っていても元気を分けてもらえるような雰囲気がある人です。